高圧昇圧コンバータ
Ver. 1.003 2024.4.26
更新履歴
2024.4.14 Ver. 1.000 新規作成
2024.4.15 Ver. 1.001 降圧コンバータ 追記
2024.4.24 Ver. 1.002 写真追加、他修正
2024.4.26 Ver. 1.003 表追加
【はじめに】
これは、amazonの
Hilitand DC-DC昇圧コンバータ
を評価したものです。24VのACアダプタを使えば、真空管アンプのB電源に使えます。
大きさ
左から降圧コンバータ、真空管６BQ7A、高圧昇圧コンバータ 比較用にノグチのPMC-100M電源トランスをおきました
PMC-100Mの電源トランスから、いかに電源がコンパクトになるか分かると思います。なお、降圧コンバータは、ヒーター点灯用、高圧昇圧コンバータ は、B電圧用です。ヒーター点灯用の降圧コンバータは、ヒーター電圧の種類によって、複数個使用する場合があります。
仕様
入力電圧(2種類、PCB背面のジャンパーで選択可能)
a. 8-16V、b. 10-32V【デフォルト】
入力電流
5Aまで
静電容量
15mA（12-50Vは高くなる）
出力電圧
±45〜
±
390V（初期値±50V）
出力電流
0.2A以下（入出力電圧に関係あり）
出力電力
40W（70Wまで）
動作温度
-40℃〜+85℃（周囲温度が高い場合は放熱を強化してください）
周波数
75KHz
変換効率
88％まで
となっています。入力電圧は、10-32Vとなっています。ACアダプタを使うと最大24Vなので、24VのACアダプタを使う事になります。
また、B電源としての出力電力40Wなので、効率80%とすると、入力電力50Wになりますので、24Vの65W級ACアダプタになります。
出力は、正電圧と負電圧で、正電圧は安定化されていますが、負電圧は安定化されていません。
出力電流は200mAまでとなっております。ただし、入力電圧によると書かれていますので、電圧が高いほどこれになるという事でしょう。
出力電圧の制限は390Vであり、出力電力は40Wまでとなっており、片チャンネルのシングルアンプの電源とすれば、B電圧390V、プレート損失40W となりますので、ほとんどの真空管は、使えることになります。
2個買って、2つとも正常に動きました。でも、初期電圧は50Vより高く、65Vと86Vでした。
評価には、20V3Aの電源を使いました。負電圧の負荷には、22KΩの抵抗を2本直列にして、44KΩとしてあります。
正電圧は、抵抗負荷です。ポテンショメータを回して、徐々に電圧をあげて、目標電圧にしました。
ただし、大きな負荷をつけて、いきなり起動すると、負荷のコンデンサもあるので、入力電流が非常に大きくなり、ACアダプタの保護回路が働き起動できない ことがあります。しかし、真空管は、ヒーターが暖まると、徐々にプレート電流が流れるので、コンデンサの突入電流だけを考えれば、良いのです。大きなコ ンデンサには、その前に抵抗を入れて電流制限をかけるといいでしょう。もっとも、トランスが75KHzで動いていますから、コンデンサは、10uFくらい で十分大きすぎるのです。50/60Hzの100uFというような、普通の頭では失敗します。
結果は次のようになりました。
下の表は、電圧を設定したあと負荷を増やして測ったものです。なお、電源は24V65WACアダプタを使って測りました。
解説
これなら、6AQ5シングルのステレオアンプのB電源に使えそうです。また、２Ａ３のシングルアンプでは、負電圧をバイアスに使うことができます。60V くらいになるよう抵抗とツェナーダイオードで、決め、その-60Vから、抵抗とボリュウームで、-45Vなどに調整すればいいのです。B電圧は安定化され ていますので、固定バイアスが一番です。
ところで、ヒーター電圧はどうするかです。それには、降圧コンバータを使うと良いでしょう。24Vから、降圧コンバータで6.3Vにすればいいし、 12.6Vでも、13Vでも、ポテンショメータを回して調整すれば良いのです。この
降 圧コンバータ
の場合、6個もありますので、６通りのヒーター電圧まで、用意できます。ドライバーが、4BQ7Aと3EJ7であっても、問題ないの です。
ただし、ヒーター電力もACアダプタの負荷になりますので、ヒーター電力を忘れてはなりません。
なお、ヒーター経由で、スイッチングノイズが入る場合が、あります。LCフィルタを入れると効果があります。また、直熱管の場合、降圧コンバータのGND は、ACアダプタのGNDとつながっているので、B電圧のGNDともつながっています。したがって、ヒーターの片側がGNDになってしまいます。その辺 は、工夫が必要です。
降圧コンバータ
２つの降圧コンバータ 仕様はほぼ同じ。出力電圧設定は小さい方はボリュームで、大きい方はポテンショメータである。設定電圧がヒステリシスを 持っているので、設定において大差ない。大きい方はICがLM2596、小さい方は、消されているので、分かりません。
降圧コンバータは、入力電圧を下げるスイッチング電源です。たとえば、24Vから8Vにして、3Aとると、8V×3A=24Wですから、入力は、24V× 1A=24Wとなるわけです。電力は、変わりません。ですから負荷電流より入力電流は小さくなります。実際は効率がありますので、入力電力は幾分増えま す。一般的な安定化電源IC（シリーズドロッパ）と違って、電力ロスは非常に小 さいです。
先の6個805円の降圧コンバータは、LM2596というICで、ほぼ成り立っています。
これは、データシートの負荷電流3Aのグラフです。
小さい方は効率91.8% 大きい方は効率80.2%
小さい方は10%くらい効率が良い。でも、大きい方は出力電圧12.6Vくらいあげると、実測87%で、データシートでも90%くらいですね。大きい方は 出力電圧をあげると、効率が良く、下げると悪くなるようです。
